大餅さん
場所 八束郡八雲村別所地区
日程 1月15日〜17日(平成10年、西奥地区の場合)
1月15日、大餅さんを手杵でつく。2親のある者しか米を蒸すことができず、また天神さんの餅は2親ある者しかつくことができない。不幸があった家は行事に参加することができない。
餅を蒸す者などはこの日朝、大芦の海岸で塩コリをし、海水を持ち帰る。その後、清徳寺住職により、釜などがこの海水で祓われる。餅を蒸す火は火きりでおこされる。
餅がつかれているそばに寄る時は注意が必要。蒔かれる水を大量に浴びてしまう。
1月16日、餅の飾りを終える。後方は天神さんの餅。大餅は1体が5升である。天神さんの餅は子供が担ぎ、星上山の那富乃夜神社に奉納、大餅は星神寺に奉納される。
この日のわら仕事は大変。(とはいえ、秋鹿の大餅さんは葛で編まれるが、それよりは楽だわー、とのこと。)わら仕事は長年の経験が生きるのだ。
17日、別所地区内を巡行する大餅。別所地区は別下、別中、別上、西奥、藤原の5地区に別れており、そのうち3地区を巡行する。この5地区が順番で祭りの当番(当家)をつとめる。巡行中、大餅は地面に下ろすことが出来ない。また別所地区とは別に東本郷地区からも2体、大餅さんが星上寺に奉納される。
巡行中は各家から酒が振る舞われる。餅を担ぐのも大変だが、酒を飲む量も大変、大酒を飲んだ後に山を登るのでまた大変。
参道途中にある「ちごうさん」。小野小町を祀るともいわれている。米を蒸す人(2名)には1升あての祝餅が渡されるが、その一部から「ちごうさんの餅」というものが作られる。星上山に大餅を納めてから、ちごうさんにこの餅を供えると、良いお嫁さんを迎えられるといわれている。昔はこの餅を取り合いがあったようだ。
星上寺に奉納された大餅。大般若経の読授の後、餅は担いで登った地区以外の地区によって山から下ろされ、別所地区の全戸に分けられる。
寺院での修正会(年始の法会)がこの行事のルーツ、大餅を供えて豊作と無病息災を祈るものと考えられている。
出雲地方にはこの種の行事は多く行われていたが、島根半島各地区のように(島根半島には餅の奉納を含まないものもあり、一般に伽藍さんと呼ばれている)、最近になって行われなくなったり、簡略化された場合も多い。
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