佐久間 良子 対談 島根を語る 澄田 信義
さくま
佐久間
よしこ
良子
(女優)

東京都練馬区生れ。川村女史学園卒業。昭和33年東映入社、「五番町夕霧楼」「越後つついし親不知」「湖の琴」等、今日まで数々の舞台、映画、テレビなど幅広い活躍でトップ女優の地位を確立。今年5月には帝国劇場において約1カ月間上演される「津和野の女・伊澤蘭奢の生涯」で主演する
すみた
澄田
のぶよし
信義
(島根県知事)

島根県出雲市出身。東京大学法学部卒。和歌山県警察本部長、日本国有鉄道常務理事を経て、昭和62年より現職。現在2期目。


舞台にはいつも新しい発見がある
知事 実は私は、佐久間さんの大ファンで、テレビや映画を随分拝見させていただきました。
佐久間 恐れ入ります。この度は島根県津和野町出身の女優、伊沢蘭奢(いざわらんじゃ)の生涯を舞台で演じさせていただくことになりました。5月ですけれども。
知事 はい、それを伺いましたもので、私も舞台の原作である作家の夏樹静子さんが書かれた「女優× 伊澤蘭奢の生涯」を読ませていただきました。いや、実に感激しましてね。それを佐久間さんが帝国劇場で主演なさるという話を聞いて、島根にとって非常に有り難いことだと思いました。
佐久間 いい舞台の脚本が上がっています。
知事 ところで、佐久間さんが演劇や映画の道にお入りになったきっかけは何だったのですか。
佐久間 私は東京の旧家で育ちましたもので、当時、女学校を卒業したら大学へと決まっていました。ただ、私の家が東映の東京撮影所に近かったものですから、その学校の行き帰りに強引にスカウトされて、それで今に…。
知事 そうですか。
佐久間 最初はまったく入る気はしませんでしたけれども、やはりどこか好きじゃないと続けては来れなかったと思うんです。それはもう大変でしたからね、昔の撮影所は。
知事 仕事柄、人と話をしたり、講演をしたりする機会が多いのですが、やはりそのときに自分が心底から感じてないと伝わらない。まず、自分が感動をしないとお客様も感動はさせられないと思うのですが。
佐久間 そうです、そうです。やはり自分が感動しないことには。それと生身の体ですから、舞台で毎日同じことばかりできないんです。
知事 日によって、観客の反応が違ったりするんですか?
佐久間 ええ。いつも、なぜだろう?という新しい発見があります。
知事 そういう意味では日々新たですね。
佐久間 いつも体が健康であればひらめきもあるし、物事を正しく見ることができます。やはり、体が一番ということですね。

島根に伝わる古式豊かな伝統文化
知事 島根にいらっしゃった事はありますか?
佐久間 はい。もう十数年前になりますけれども、「出雲阿国」をテレビでやらせていただいたときに、出雲大社にお参りしたことがあるんですよ。そして2月の中旬には津和野に行きました。
知事 大社には阿国の墓がありますよ。
佐久間 ええ、お参りしました。私は大体、阿国にしても今度の伊沢蘭奢にしても、生前いらした方たちのお墓へはお参りをさせていただくようにしております。
知事 そうすると、津和野へはそのとき初めてお出でになったわけですね。
佐久間 はい。島根はすごく大きいでしょ。
知事 そうですね。大きいと言うか、東西に細長いですね。出雲大社は東の方で、津和野は一番西の端です。県庁所在地の松江からですと、車で4時間半から5時間かかります。
佐久間 そんなにかかるんですか。東京から行く場合は、飛行機があるんですね。
知事 はい、津和野町の隣の益田市に、去年7月、石見(いわみ)空港という新空港ができましてね、その石見空港に降ります。今、県内では、出雲と隠岐の島、そして石見の三つの空港があります。
佐久間 それは便利ですね。
知事 津和野はなかなかいい町でしてね。大坂城の千姫を命懸けで救ったという坂崎出羽守という人物が津和野の城下町を造り、室町時代には京都の祇園神社の鷺舞が伝わりました。鷺舞は、毎年七月に弥栄神社で舞われますが、今は伝統芸能として国内外で披露されています。
佐久間 島根県は本当に、古くからの伝統文化というのでしょうか、今も息づいているような感じですね。
知事 島根県は昔の国で言いますと、出雲の国と石見の国、そして隠岐の国の三つが一緒になってできたんです。そのどこにも古き良きものが残っていて、それは自慢できます。
佐久間 出雲の方にはスサノオノミコトが退治した八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の神話がありますね。
知事 ええ。ちようど出雲大社の近くを斐伊川が流れているんですが、この源流が中国山地のずっと奥にあります。そこに船通山(せんつうさん)という山があり、八岐大蛇はその辺りで起こった物語です。今でもこの八岐大蛇にまつわる神楽が盛んですよ。また、芸能の神様の神社もありましてね。
佐久間 どこにあるんですか。
知事 島根半島の東の端で、美保関町という町です。その町に出雲大社のオオクニヌシノミコトの長男を奉った美保神社があります。エビス様ですよ。この神様は非常に歌舞音曲が好きで、全国から三味とか太鼓の寄進がありましてね。国宝級の物も残っています。
佐久間 神話の国といいましょうか、すごく神秘的な感じがします。やはりそうした伝統文化はずっと残していって欲しいですね。

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