私と島根 敬愛する出雲風土  不思議と「日本人でよかった」と思ってしまう・・・。そんな景色があちらこちらに散らばっているのが私にとっての島根県です。
 中でもスポーツ健康大学の学長を2年間務めさせていただいた松江市の美しさは、世界中を転戦してきた中でも味わうことの出来ない、日本が世界に誇れるものの一つだと思っています。
 日本史好きの私は、4年前、初めて学長として松江を訪れた際も出雲空港にお迎えに来てくださった市の職員の方に「松江城に行きたいです」とわがままを言って城を訪れ、天守閣から城下の町や宍道湖を見下ろし、気分はすっかり松平不昧公。案内されるままに近くのお堀端から「堀川遊覧めぐり」に乗るとまるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚で風景を楽めました。舟から下りると、古い武家屋敷が立ち並ぶ一角にある和菓子の老舗やお蕎麦屋さんに、私は時間を忘れてあちらこちらの門をくぐってしまい、ホテルに戻って体重計にのり卒倒しそうになったこともありました。
 スポーツ健康大学をご縁に、その後「一人でも多くの方にテニスの素晴らしさをお伝えしたい」と、現役を引退したテニスプレーヤー6名(雉子牟田明子・雉子牟田直子・神尾米・遠藤愛・長塚京子の5氏と私)で「いちご会テニスフェスタ」を始め、松江市立総合体育館で3年間続けさせていただきました。こうして島根県の皆さんの気質や温かさに触れる機会も増えました。
 テニスクリニックの開催時間になっても参加予定者が全く集まらず、動揺したときに教えられたのは、「島根県の人はのんびりやさんで10時開始だと10時に家をでるから・・・」という衝撃的(?)な事実!。気忙しい関西人の私には何だか忘れかけていた日本人の豊かさを見せられた気がしたものです。
 また、テニスフェスタでは多くのボランティアのご協力もありました。島根大学の学生さんには体育館を特設テニスコースに仕上げるために、テニス用のカーペットを徹夜で敷いていただきました。県女子テニス連盟の方々にはエキジビジョンマッチに必要な審判員の勉強を毎週のように自主的に行っていただくなど、裏方で支えてくださった多くの方々には心から感謝しています。関係者全員が充実した表情でテニスフェスタの最終日を迎えられることができたのも、常日頃から他人には見えないところで黙々と努力する島根県人の気質があったからこそだと、あらためて、この素晴らしい人々を形成している島根の歴史、風土には敬意を表したい気持ちで一杯です。
松江城天守閣からの景色
松江城天守閣から松江市街地が一望できる(松江市)

沢松奈生子
さわまつなおこ
沢松奈生子
プロテニスプレーヤー。五歳から本格的にテニスを始める。高校1年生の秋、全日本選手権に初出場、大学進学と同時にプロ転向、1995年阪神淡路大震災で自宅が全壊する中、全豪オープンでベスト8に進む。1998年現役引退。世界戦優勝4回。自己最高世界ランキング14位。1999年〜2000年度松江スポーツ健康大学学長。現在は、テレビ解説、コラム執筆、講演などで活躍。日本オリンピック委員会事業広報委員、神戸松蔭女子学院大学講師。
インターネットホームページ:http://tennis.dunlop.co.jp/sawamatsu/

風見しんご/沢松奈生子

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